iPhone6の発売が近づき、勤務先でもNFCが搭載されるかも?
っていう話題がちらほら出ています。

でも、今更NFCを搭載する意味があるのでしょうか?
(もちろん、弊社が出荷しただけでも数十万台のNFC機器が稼働しており、それらの遺産を利用できると考えれば素晴らしいことですけどね)

1.実装面積
NFCは比較的低い周波数の電波を利用した通信です。(13.56MHz)
周波数が低ければ、大きなアンテナが必要になります。
ハードウェアチームがかなり頑張って小型化したのですが、3cm程度の大きさが必要でした。
(10円玉程度の大きさのアンテナもありますが、ほぼ密着させねばならず、自動改札機のような使い勝手にはなりません)

Bluetoothは2.4GHzと高い周波数の電波を利用しているため、アンテナも小型化です
アンテナだけであれば2x4mm角程度。制御用ICとアンテナを一体化したものでも7x8mm程度のものがあります

2.価格
NFCモジュールは制御IC+アンテナの合計となるため800円程度です
Bluetoothモジュールは300円程度です

3.普及
ガラケー時代であれば、搭載率89%というおサイフケータイには大きな可能性がありました。
しかし、スマートフォンが一般化してから、特に国内ではシェアの6割を握るiPhoneはBluetoothのみの対応です
(一般化できるかを考えた場合、価格や技術面よりもこれが大きいです)

4.用途
NFCには「翳す=通信+ボタンを押す」
という2つの動作を同時にできる利便性があります。
Bluetoothは、アプリを起動して通信を開始しなければならない煩わしさがあったのですが、今のiPhoneは大幅な省電力化に成功しており、NFC同様翳すだけで通信を開始することも可能です
(常駐型のアプリを利用し、常に待ち受けしておく。この状態でも電池消費への影響は5%以下です)

5.カードメディア
NFCが優っている点は、カードを利用できるところです。
十分に普及しているとはいえ、老若男女問わずスマートフォンを所持してるわけではありません。
実際、維持費が高額であることを考えれば、この先もお年寄りや児童にまで普及する可能性は低いと思われます。
維持費を考えると、Suicaのようなカードの方が普及には有利です。(電池が不要である点も大きいです)
FeliCa:300〜500円
FeliCa-Lite S:100円
Mifare:50円

Bluetoothドングル:600円(電池別)

海外で圧倒的に普及しているのはMifareです。(製造枚数では10倍以上の差があると思われます)
技術面ではFeliCaが優っているのですが、結局普及の鍵を握ったのはコストでした。
コストを無視して、技術だけに目を向けていても、普及は難しいのが現状です

(FeliCa LiteSは、Mifareに対抗するために、最近になって作られた機能縮小版の派生規格です)